耳より医学(病気の解説)
RSウイルスの検査と保育園
この時期になると毎年、RSウイルス感染が増えてきます。呼吸器感染し、重篤な細気管支炎や喉頭炎に繋がることもあり、注意すべき重要なウイルスです。
最近「RSウイルスか検査してもらってください」と保育園から言われましたと検査希望者が受診されます。 まず、RSウイルス感染症は出席停止の病気ではありません。現在のところRSウイルス感染症と分かっても、治療方針の参考になりません。検査では「RSウイルスがいますね/いません」の答えだけになります。
RSウイルスに感染しても、鼻水程度の場合もあれば細気管支炎で入院する症例まで、程度はさまざまです。重症度は検査の結果でなく、通院時の呼吸音のチェックや発熱の程度などで確認の必要があります。
しかも、細気管支炎や肺炎を起こすウイルスや細菌は他にもたくさんあるので原因ウイルスよりも、症状の推移をよく観察して入院の必要性など早めの対応が大切です。
このような理由からか外来でのRSウイルス検査は、保険適応ではなく、自由(自費)診療で数千円かかります。
集団生活を預かる保育園の気持ちもよく理解できますが、感染後は、数日から、数週間,ウイルスは排泄され、隔離期間の決定は困難です。また,2歳までにほとんどの児が1回以上はRSウイルスに感染します。鼻水の児全員,毎回RSウイルス検査して、数週間出席停止は非現実的です。検査は医師の判断で治療上必要性のある場合のみ施行すべきと思われます。
‘おおみち耳鼻咽喉科'耳より医学’
小児アレルギー性鼻炎
鼻づまりは小児アレルギー性鼻炎の特徴ですが幼小児では訴えることができず、検診以外では睡眠障害などで気づかれます。喘息児の約70%がアレルギー性鼻炎を合併し、コントロール不良が症状を悪化させる傾向があります。
治療の目的は小児でも日常生活の苦痛を無くすこと(QOLの改善)です。幼小児では細菌感染の合併も多く、鼻閉を増強させます。鼻汁の細胞を参考にして感染症の合併を鑑別し、治療することが必要です。
薬物治療は抗ヒスタミン剤と点鼻薬が主体です。局所治療では鼻処置により鼻粘膜を広げ、鼻汁吸引により、鼻閉から開放されますが、なんと言っても治療の原則は抗原(ハウスダストや花粉など)の除去です。花粉症の流行期に子供さんもマスクの着用、ご家族は洗濯物や布団を外に干さない、帰宅前に服の花粉を払うなども有効です。
おおみち耳鼻咽喉科“耳より医学”
スギ、ヒノキ、カモガヤ花粉症
2月から5月までのスギ花粉、ヒノキ花粉、6月のイネ科の花粉などこのシーズンは花粉症のシーズンとも言えます。鼻汁、くしゃみ、咳、目のかゆみ等の症状が出ますが既往のある人はマスクなど自己防衛、出来るだけ早めに抗アレルギー剤などを使用するか、レーザーによる鼻粘膜に対する処置をしておくなどの予防対策も有効です。
特に今年はスギ花粉の飛散量が多く、初期療法(飛散前に抗ヒスタミン剤を服用する)されていない患者様はすぐに薬が効きにくい場合が多いようです。このような重症の場合は短期間(1週間程度)、ステロイド剤やステロイド含有の抗ヒスタミン剤を使用するのも一つの方法です。ただし、ステロイドは糖尿病、胃潰瘍、緑内障のあるか患者様には使用できません。また、ステロイド含有の抗ヒスタミン剤は眠気などの副作用もあるので原則、自動車の運転はできません。
いずれにせよその患者様の年齢や状況に応じた治療法を選択することが大切です。そのためにも専門医でご相談されることが大切です。
おおみち耳鼻咽喉科“耳より医学”