耳より医学(病気の解説)
2023-04-03 06:11:00
RSウイルスの検査と保育園
この時期になると毎年、RSウイルス感染が増えてきます。呼吸器感染し、重篤な細気管支炎や喉頭炎に繋がることもあり、注意すべき重要なウイルスです。
最近「RSウイルスか検査してもらってください」と保育園から言われましたと検査希望者が受診されます。 まず、RSウイルス感染症は出席停止の病気ではありません。現在のところRSウイルス感染症と分かっても、治療方針の参考になりません。検査では「RSウイルスがいますね/いません」の答えだけになります。
RSウイルスに感染しても、鼻水程度の場合もあれば細気管支炎で入院する症例まで、程度はさまざまです。重症度は検査の結果でなく、通院時の呼吸音のチェックや発熱の程度などで確認の必要があります。
しかも、細気管支炎や肺炎を起こすウイルスや細菌は他にもたくさんあるので原因ウイルスよりも、症状の推移をよく観察して入院の必要性など早めの対応が大切です。
このような理由からか外来でのRSウイルス検査は、保険適応ではなく、自由(自費)診療で数千円かかります。
集団生活を預かる保育園の気持ちもよく理解できますが、感染後は、数日から、数週間,ウイルスは排泄され、隔離期間の決定は困難です。また,2歳までにほとんどの児が1回以上はRSウイルスに感染します。鼻水の児全員,毎回RSウイルス検査して、数週間出席停止は非現実的です。検査は医師の判断で治療上必要性のある場合のみ施行すべきと思われます。
‘おおみち耳鼻咽喉科'耳より医学’