耳より医学(病気の解説)
舌癌の血管構築
めまいは身体の黄信号!
めまいとは身体のバランスの乱れのことで、ぐるぐるだけでなく、ふらふら、ふわふわ、ゆらゆらなどいろいろな場合があります。
・内耳性障害(メニエール病、良性発作性頭位眩暈症など)
メニエール病では耳鳴り、難聴、ぐるぐるまわるめまいが特徴です。
良性発作性頭位眩暈症では聴カ障害は無く、頭を動かしたときにめまいが起こリます。これらの場合に楽な体位があるので、まず、安静にすることが大切です。
・脳血管障害(高血圧、脳内出血、脳梗塞など)
頭痛や手足のしびれ、運動障害(手足がうまく動かないなど)。これらの症状が出た場合には出来るだけ早く脳神経外科の診察を受けます。状態が急速に悪化する場合には救急車が必要なこともあります。
・自律神経の不安定から起こる場合(起立性調節障害、自律神経失調症など)
立ちくらみ、何となくふらふらする感じなどストレスに関係したものが多い。
・脳腫瘍(聴神経腫瘍など)
耳鳴り、難聴、めまい、顔面の運動障害、顔面の感覚麻痺など。激しい頭痛を伴うこともある。
・血液疾患(貧血など)
・高血圧
おおみち耳鼻咽喉科医院”耳より医学“
声がれ(乳幼児・小児編)
声がれ、医学用語では嗄声(させい)と言いますが、乳幼児では特に他の症状がない時は、大声で泣いた時に起こります。また、子供さんがせきや発熱を伴っている場合はクループに注意しなければなりません。クループはインフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは違う)、肺炎球菌などで発症し、声帯あるいは声帯の周辺が腫れる病気で時に呼吸困難を引き起こします。注意が必要です。
小児では多くは、スポーツで大声を出したり、無理な発声で歌ったりすることで起こります。声を休めることで軽減しますが、日常生活の中ではなかなか困難なことが多いようです。声は大変微妙な声帯の振動なので出来るだけ保存的に治療することが必要ですが、中学校3年生くらいでも改善しない場合は手術も必要です。
42年間の耳鼻咽喉科医としての経験の中で若年者としては10歳の小学生と、18歳の高校生の2人で喉頭癌を経験しておりますが、子供さんには喉頭癌は極めてまれな疾患です。
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結核について
一般的には結核は過去の病気のように誤解されていますが、医療機関では常に注意すべき感染症のひとつです。
咳、微熱、全身倦怠感が長引くような場合には肺結核も疑われます。菌が肺の他の部分に広がったり、リンパ流や血流を介して他臓器での繁殖や全身に拡散します。
冒される他臓器としては頚部リンパ節が最も多く、結核は喉頭、腸、腹膜、また眼や耳、皮膚、生殖器にまで拡がることもあります。結核菌が血流を介して結核性髄膜炎を起こすこともあり、適切な治療が遅れると、生命に危険なばかりでなく、治っても脳に重い後遺症を残すことがあります。
結核の検査にはレントゲン写真、ツベルクリン反応、喀痰検査などがありますが、判定が困難な場合もあります。そこで、最近では、QFT検査と呼ばれる血液検査も可能となっています。
いずれにせよ、疑わしい場合には医療機関で相談されることが必要です。
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唾液腺の病気
唾液腺(唾液を出す装置)には大きく分けて耳下腺、顎下腺、舌下腺と3つあります。唾石のことについてお話しいたします。唾石とは主として顎下腺の中に石ができる病気で顎の下が腫れて痛くなります。特に食事中は唾液が産生され顎下腺の管のなかに石があると唾液が口の中に出られず痛くなってきます。
視診と触診でだいたいは診断がつきますがレントゲンや断層撮影で石の確認が必要です。治療としては石が口の中に近いときは取り出せますが、石が奥にあったり、繰り返す場合には手術で摘出が必要です。多い疾患ではありませんが顔面の腫れを起こす病気の一つとして鑑別する必要があります。また、唾石ではありませんが、唾液腺に起こるビールス感染の流行性耳下腺炎はおたふくかぜとしてよく知られています。治療困難な感音性難聴や髄膜炎を併発する場合もあり、予防接種が大切です。
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