耳より医学(病気の解説)

2023-11-16 05:35:00

耳の悪性腫瘍

 耳の悪性腫瘍について解説します。

 外耳道癌は慢性外耳炎の延長線上にあるとの報告もあり耳かきなどによる慢性的刺激には注意する必要があります

 初発症状としては一般的な外耳道炎と同様に外耳道のかゆみ、痛み、耳漏などですが、出血(腫瘍には血管が豊富なため)がある場合は要注意です。外耳道に限局する場合は手術的に除去できますが進展すると中耳や頭蓋内への進展もあり厄介になります。

 中耳癌も慢性中耳炎を伴っていることが多く、外耳道癌と同様に慢性炎症からの癌化の可能性が示唆されます。症状は一般的な慢性中耳炎の症状と同じですが強い痛み、出血は要注意です。

 治療は進展例が多いため脳の一部をふくめた側頭骨摘出術が必要な場合もあります。最も注意する点はこれらの悪性腫瘍は慢性炎症状態から癌化と考えられるため、症状からだけで判断すると慢性外耳炎や慢性中耳炎と区別できないことです。どんな病気も症状からだけでは診断することが出来ない場合もあり、原因疾患の検索が大切です。

おおみち耳鼻科”耳より医学”

2023-09-05 05:42:00

速報版ー現在流行の新型コロナウイルス(8月以降)ー

オミクロン株系統の新たな変異株であるEG.5は「エリス」とも呼ばれ、世界保健機関(WHO)は89日にこの変異株を含むEG.5系統を「注目すべき変異株」に指定しました。EG.5XBB.1.9.2の子孫系統であり、WHOによると、EG.5系統はXBB系統と同様に、感染拡大力や免疫回避能は中等度ですが、重症化リスクは低いとされています。日本を含む東アジア、北米、欧州など全世界で勢力を拡大しており、815日時点の発表では、日本では主系統のXBB.1.16に次いで、EG.5.1EG.5.1.1が流行株となっています。

XBB系統は感染拡大のスピードが非常に速く、ワクチン接種やXBB以前のオミクロン変異株へのブレイクスルー感染(接種後感染)で得られた免疫を回避することがありますが、9月20日より始まるコロナワクチンはこの変異株にも効果的であるとされています。

2023-06-09 06:26:00

新型コロナウイルスワクチンの追加接種について

まず、欧米では80%の人が新型コロナウイルスに対する抗体を持っていると言われています。一方、日本人ではおおよそ50%の抗体保有率しかありません。

オミクロン株対応ワクチンは、重症化予防効果とともに、感染予防効果や発症予防効果も期待できるので。多くの人がワクチンを接種すれば、感染拡大の抑制につながります

すなわち、抗体を持っている割合が上がれば感染する機会が減り、感染する機会が減れば他の人への感染も減ることになります。

また、個人個人の観点から言えば、4回目・5回目のワクチン接種をしている方は、感染しても比較的症状が軽い人が多い。また、接種から半年以上経つと、血液中の抗体量が減少しワクチンの効果が弱まり、感染リスク・重症化リスクが高くなると言われています。

若い人は新型コロナウイルスに感染しても、重症化しないと言われていますが、死に至るような重症化はしないという意味で、症状が軽いという意味ではありません。発熱や倦怠感などつらい症状が出ます。

接種後の副反応については、発熱、倦怠感など強い人もいます。しかし、実際に新型コロナウイルスに感染するとさらに強い症状がでます。また、仕事に行けない、子どもや高齢の両親に感染する場合もあります。ワクチン接種は任意ですので、これまで述べてきたことを十分考慮して接種するかどうかを決定していただければと思います。

おおみち耳鼻科”耳より医学”

2023-04-20 06:17:00

のどの病気(成人編)

成人でも小児でもが出たとき、のどの炎症、即ち急性扁桃炎が原因となっていることが多いのです。しかし、のどの痛み症状であって他の疾患にも注意が必要です。のどの病気は外見上変化が無い場合が多く、扁桃周囲膿瘍(扁桃の周囲の隙間に膿がたまる病気)、喉頭蓋(声帯に前上方にある部分)の炎症などは急激に呼吸困難につながるケースもあります。また、悪性腫瘍の中でも下咽頭がんは頚部のリンパ節の腫脹などで発見されることもありますが多くはどの痛みを訴える患者様の咽喉頭の内視鏡検査発見されます。その他、喉頭がん扁桃がん悪性リンパ腫なども考えられます。稀な例ですが胸部大動脈瘤の破裂の始まりによる放散痛の例もあります。

上記の全ての症例はすべて当院で経験されたケースです。

おおみち耳鼻咽喉科“耳より医学”

2023-04-19 06:38:00

マイコプラズマ感染症

マイコプラズマ肺炎は3-4年周期で流行すると言われていますが、最近は周期がはっきりしません。

好発年齢は4歳前後から20才くらいまでの若年者に多く、1才未満の発症は比較的少ないようです。

マイコプラズマ肺炎の特徴咳が強く肺炎の状態の割には全身状態がよいことです。血液検査では正常範囲のことが多く、ペニシリンやセフエ系抗生剤で効果がないことも特徴です。抗原検査キットが早期の診断に役立ちます。

しかし、全身状態が良い場合、頑固な咳の患者様全てにこの検査をすることは経済的負担の面からも困難です。そこで日常臨床的には頑固な咳のある患者様には流行時期にはマイコプラズマに効果のあるマクロライド系抗生剤を投与します。

また、中耳炎や急性副鼻腔炎も合併することがあります。さらに稀ですが髄膜炎、小脳失調、血管内凝固などにも注意が必要です。

おおみち耳鼻咽喉科“耳より医学“

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